はじめに
ハイポネックスと強力わかもとを使ってミドリムシの培養を行ってきた。メダカの餌として培養を続けてきたのだが、オオミジンコに餌として与えてみたとき増殖はうまくいくのか実験を行った。
タマミジンコで実験を行ったときグリーンウォーターや生クロレラ、金魚の餌と比べ、培養までに時間がかかり餌としてのコスパが良くないことが分かった。しかしタマミジンコとオオミジンコでは基本的な培養環境は似通っているが増殖スピードに若干の違いが見られる。
タマミジンコの増殖の印象は、増殖する個体数は多いが死滅するときは一気に死滅し増えた後の管理が難しいのに対し、オオミジンコは、増えるスピードや個体数は少ないが増えた後はタマミジンコより安定している。
実験が成功し培養が安定すればオオミジンコの餌候補の1つに入れたい。
結論
最もオオミジンコが増殖したミドリムシ容量は、20mlだった。
※飼育水全体の容量が400mlの場合。
目的
ミドリムシを餌にしてオオミジンコが増殖するのか実験を行いたい。また、増殖した際の最適なミドリムシの容量は何mlであるか結果を導きたい。
方法
①ミドリムシを10ml、20ml、30ml、40ml、100ml、200mlそれぞれ透明なカップに入れた。
②ミドリムシも含め400mlになるようカルキ抜きした水を注いだ。
③オオミジンコ10匹をそれぞれの容器にいれ12時間日光を照射し続け、オオミジンコ投入日を0日目とし6日目まで増殖数をカウントした。
結果
最もオオミジンコが増殖したのは、ミドリムシ濃度は20mlだった。
次いで繁殖したのは、20mlの前後にあたる10mlと30mlであったが2日目以降から減少しているものや微増にとどまった。
40ml~200mlにおいては、個体数の計測期間中終始伸び悩みオオミジンコの繁殖に適した濃度とは、言えなかった。
0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | |
10ml | 10 | 15 | 18 | 18 | 22 | ||
20ml | 10 | 22 | 26 | 31 | 35 | ||
30ml | 10 | 29 | 25 | 20 | 18 | ||
40ml | 10 | 24 | 13 | 8 | 8 | ||
100ml | 10 | 24 | 19 | 18 | 15 | ||
200ml | 10 | 16 | 13 | 11 | 16 |
考察
今回の実験では40ml以降ミドリムシの濃度が濃くなれば濃くなるほど個体数は減少していった。ミドリムシの濃度にもよるがカルキ抜きした水200ml+ミドリムシ200mlで飼育水を作った場合、ほとんどのオオミジンコが見えないほど濃く繁殖状況の確認にも不向きであった。
400ml溶液では思うように繁殖しなかった。5L容器に移して1~2週間ほど放置して繁殖させれば結果は変わってくるかもしれないが、
他の餌と比べ特別、増殖が良かったわけではないため貴重なミドリムシをオオミジンコにわざわざ与える理由は今回の実験で見当たらなかった。
総括すると、オオミジンコの餌にミドリムシを与える理由は今回見つからなかったが、
夏の温度が高い時期に再度実験を行うこと、水量を増やして培養してみること、ミドリムシ培養がうまくいき餌としての補給が安定的にできること
などの点が解決できればオオミジンコの餌としてミドリムシを使ってみてもいいかもしれない。