ブラインシュリンプの簡単な孵化方法2選「通常方法・皿式」

ブラインシュリンプとは?

 アルテミアとも呼ばれ塩水湖に生息する動物プランクトン。アメリカ産、中国産、ベトナム産などがあり海水魚やメダカの稚魚の活餌として用いられます。

 塩水につけてから24時間で孵化し、飼育して1か月たつと幼体から成体となり産卵することで増やすことができます。

 ミジンコ類はメダカなどに餌として与えても残った分は、餌がある限り繁殖を続けるか生存します。しかしブラインシュリンプは海水で生息しており淡水の水生生物に餌として与えた場合食べられなかった分は1日も持たず死んでしまうため、ミジンコ類と比べ孵化しやすいというメリットもありますが孵化した後の維持方法や餌としての与え方に工夫が必要になりそうです。

 

ブラインシュリンの入手方法

・ペットショップ

 今回実験で使用したブラインシュリンプエッグス2種類は近くのペットショップで購入しました。ペット用品が置いてあるホームセンターなどでも売ってあったりするので興味のある方は、探しててみてください。

 少量使う分には、ペットショップやホームセンターでも十分そうです。

・通販

 検索してみたところ、アマゾン、楽天、ヤフオク、au payマーケット、pay payモールなどでも購入が可能でした。また、店頭ではあまりみない缶で販売しているものもあり値段は高いですが継続的に使用するのであればグラム数当たりの値段は缶のほうが安いです。

 店頭より種類と量が豊富で継続的かつ大量に使用する場合は通販が断然お得。

使用したブラインシュリンプ2種

①スペクトラムブランズジャパン株式会社 テトラブラインシュリンプエッグス

②日本動物薬品株式会社 ブラインシュリンプエッグス

2種類のブラインシュリンプエッグス比較表

 ほとんど商品内容は変わらないが②の日本動物薬品株式会社のブラインシュリンプには、スポイトとスプーン(さじ)が付属しており卵を計るとき非常に役に立ちました。

孵化方法2選

通常方法(説明書通り)

 塩濃度2%の溶液に卵を投入し28℃下でエアレーションで曝気をし続けながら孵化させる方法。

  メリット

 ・孵化率が7~8割と非常に安定している。

 ・説明書やネットにに詳しく孵化方法がのっている。

  デメリット 

 ・孵化するのに必要なエアーポンプやヒーター、孵化する際に使用する容器など準備にコストと時間がかかる。

 孵化に重要な環境要因

 ・塩分濃度

 水道水では孵化しないので味付きではない食塩か、海水魚などにに使われる人工海水を使用して孵化させます。

  今回実験に使用したブラインシュリンプの卵はどちらも孵化させるときの塩分濃度が2%でした。塩分濃度の違いによる孵化率の変化は今後実験を行い記事にしていきたいと思います。

 ※製品によって孵化させる際の塩分濃度が違いますので説明書に記載されている濃度に従ってください。

 ※厳密には水道水490mlに塩10gで2%濃度の海水となるのですが孵化率に大きな変動はありませんので量りやすい数字を表には記載しています。

 ・温度

  どちらのメーカーも28℃前後での孵化を推奨しています。それ以下の温度で孵化させた場合孵化率はどのように変わるか実験を行いましたので下にスクロールされてご覧ください。

 ・エアレーション

  エアーポンプ、エアーチューブ、エアーストーンは付属されていませんので最低限エアーポンプとエアーチューブは用意されてください。孵化率が大幅に上昇し孵化した後も酸欠状態で死滅する確率が下がります。

 ・光

  今回は、照明を使用せずに孵化実験を行いましたが8~9割は無事孵化いたしました。今後、照明をつけた場合とつけてない場合でどれくらい孵化率に違いが出るか実験を行いと思いますのでご期待ください。

用意するもの

・塩(味付きでない食塩、人工海水など)

 今後、どの塩で孵化が可能かまた孵化できないか実験を行い使用可能な塩を調べてみたいと思います。今回はテトラのマリンソルトプロを使用しました。

・孵化させる容器

 1Lの海水が入る容器を使用しました。1Lぴったりだとエアーレーションの際にあふれてしまう恐れがあるのである程度余裕のある容器を選ぶといいかもしれません。

 ちなみに使用した容器は100円ショップのダイソーで購入したものです。

 下記の商品は、ブラインシュリンプを孵化させるときよく用いられる商品になります。なるべくコストを下げて孵化させたかったので100円ショップの容器を使用しましたが、確実に繁殖を成功させたい方は、購入してみてください。

 Youtubeで検索すると大量に孵化している動画が乗っていると主ますので気になる方は、下部のボタンをクリック!

・水槽用ヒーター

 孵化に最適な温度は28℃前後であるといわれています。直接水槽に入れた水を温めるにしろ、湯銭方式で温めるにしろ孵化の重要な環境要因になってますので準備できるようであれば用意してください。

・エアーポンプ

・エアーチューブ

・エアーストーン

 今回は使いませんでしたがあると便利です。使用せずに孵化率8~9割いきましたので問題ないとは思いますが安定性や孵化率の向上を目指される方は使用してみてください。

 手順

 ①ブラインシュリンプの卵を1gを計るか、日本動物薬品株式会社の商品に付属しているスプーン1杯分を孵化容器にいれる。

 ※付属のスプーン1杯分を計測したところ下記の画像の通り1gでした。

1Lの水道水に塩(今回使用したのはテトラのマリンソルトプロ)20gをいれ濃度を約2%になるようにする。

※厳密には980mlに塩20gで2%の人工海水濃度になるのですがそこまで厳密に計らなくても孵化率に影響はないので問題ありません。

③容器の蓋にドリルで穴をあけエアーチューブが通せるように加工しました。このように密閉してエアーを入れる必要はないので穴をあけず隙間から入れても問題ありません。

 説明書通りであればエアーで曝気するのですがエアーを使用しない場合どのぐらい孵化率に変化が出るのか調査するためエアーなしの容器も用意しました。

④ヒーターで28℃前後に設定した水槽の中にエアーあり・なし、テトラ・日本動物薬品株式会社の計4つの実験容器をつけ48時間観察しました。

※下記画像のダイソーで買った容器は取っ手が上も下もついているのでひっかけられるよう下の部分だけのこぎりで切断しました。

 エアーがあった時となかった時での孵化率の違いは上部の実験で行うとして28℃前後と室温で孵化させた場合はどのくらい孵化率に変化が出るのでしょうか?本当は、容器も一緒にしないと対照実験にならないのですが参考程度に行いたいと思います。

 1Lのペットボトルに濃度2%の人工海水、ブラインシュリンプの卵は1g投入、エアーなし、室温で放置(水温は16℃前後でした)しました。説明書通りと違うのは温度(28℃前後)とエアーなしの部分です。

 2つ条件を変えてしまいましたが室温+エアーありは追々やっていきたいと思います。

通常方法(説明書通り)孵化実験の結果

24時間後

①エアーあり、水温28℃ 

どららのメーカーも7~8割孵化

②エアーなし、水温28℃

テトラ:数十匹孵化  日本動物薬品株式会社:数百匹孵化

③エアーなし、水温16℃前後

テトラ:数十匹 日本動物薬品株式会社:数十匹

 皿式

平らな容器に薄く塩水を張り表面積を大きくし溶存酸素量を増やすことで孵化させる方法。

 メリット

 ・水槽用ヒーターやエアーポンプなどの道具が必要ない。

 デメリット

 ・通常方法(説明書通り)よりも孵化率が低い。

 ・5~6割孵化させるのに48時間と時間がかかる。

 用意するもの

・平らな容器

 下部の画像の平らな容器はセリアで購入したものです。平らであれば材質も特にこだわらなくていいと思いますが透明のほうが孵化したブラインシュリンプを観察しやすいと思います。

 大きい容器で薄く海水を張れば表面積が大きくなるので溶存酸素量も増えますが、やみくもに大きいのを買うのではなく孵化させるブラインシュリンプの量に合わせてサイズを選んでみてください。

 実験に使用した容器のサイズは、幅201×奥行き282×高さ49㎜で、ブラインシュリンプの卵は1g投入しました。

・塩(味付きでない食塩、人工海水など)

 今後、どの塩で孵化が可能かまた孵化できないか実験を行い使用可能な塩を調べてみたいと思います。今回はテトラのマリンソルトプロを使用しました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: PXL_20210313_052534990-600x800.jpg

  手順

①平らな容器に下から1㎝のところに印をつけた。

②ブラインシュリンプの卵を1gいれた。

※今回は1g入れましたがもっと少ないほうが孵化率は上がると思います。

③2%の人工海水を1cmの印をつけたところまで注ぎ、24時間後と48時間後の孵化率を観察した。

ブラインシュリンプ孵化実験結果:皿式

24時間後

テトラ:数十匹 日本動物薬品:1~2割

48時間後

テトラ:1割 日本動物薬品:4~5割

ブラインシュリンプを与える方法

 説明書通りで孵化させた方も皿式で孵化させた方も淡水魚に与える場合は塩抜きをして与えなければなりません。また孵化後の卵の殻を取り除かないと水質悪化の原因にもなりますのでその方法もお教えします。

 卵の殻を除く

 下部の画像の通り水面に卵の殻が集まり、底の方にまだ孵化していないブラインシュリンプの卵が沈んでいます。そしてその中間に孵化済みのブラインシュリンプがうじゃうじゃと泳いでいるのです。

 ブラインシュリンプを塩抜きする前に水面に浮いている卵の殻を除いてからのほうが採取しやすいと思います。

 スポイトも様々あります。最初は小さいので取ってたのですが思いのほか量があったので画像に載せている青のスポイトを用いました。

 別容器に移した卵の殻です。水質悪化の原因にもなりますので取り除いていた方がいいです。

 塩抜きの方法

 メダカなど淡水魚に与える場合は、海水で育ててますのでそのまま与えてしまうと飼育水の塩分濃度が上がってしまいます。

 そのまま与えても大丈夫との記事も見かけますが給餌の回数を重ねますと無視できなくなってくると思いますので念には念を入れ塩抜きしてから与えています。

 光に集まってくる習性がありますのでライトなどで照らして採取すると孵化したブラインシュリンプだけきれいにとれるかもしれません。

  ・よく使われている茶こし

 ブラインシュリンプの塩抜きによく使用されている茶こしになります。孵化時に使用する容器”ニチドウハッチャー24”同様コスト削減のため家にあるコーヒーフィルターとお茶パックを使用しました。

 こちらも確実に塩抜きされたい方は購入されてみてください。

  ・コーヒーフィルター

 スーパーなどでよく打っているコーヒーフィルターです。もともとはゾウリムシを濾すために購入したものですが塩抜きに使用してみると意外にも使用可能でした。

 茶こしのように繰り返しは使用できませんがどこでも売っているので簡単に入手できます。コーヒーフィルターでも使用できたのですがお茶パックのほうが時間がかからず気に入っています。

 どちらか試されてみて使いやすいほうをお使いください。お茶パックで塩抜きした場合の画像が下にスクロールするとあります。

コーヒーフィルターで塩抜きした後の画像

  ・お茶パック

 こちらもコーヒーフィルター同様スーパーなどどこでも手に入ります。上記でコーヒーフィルターより気に入っていると書いたのは濾過の時間はお茶パックのほうが早いからです。

 目の細かさがちょうどいいのでしょうか?お茶パックもいろいろありますし、あえていうことではないかもしれませんが100円ショップなどで安価に販売されてますのでいろいろ試されてみてください。

お茶パックで塩抜きした後の画像

濾したブラインシュリンプを水道水に移した画像

 淡水にいれると1日で死んでしまう

 塩水湖で生息していますので入れてすぐ死ぬわけではないですが、繁殖はもちろんしませんし、餌として与えた時食べきれなかったブラインシュリンプは死滅してしまいます。

 ブラインシュリンプの餌としての栄養は孵化が最も高く、それ以降は体色をオレンジから白に変えそれにともない栄養は減少していきます。さらに塩水であってもそのまま放置しておくと餌がなければブラインシュリンプ自体が死滅してしまいます。

  孵化環境をそのまま数日保っておくか、餌を与え繁殖しなければなりません。

 ブラインシュリンプの繁殖方法 

 水槽用ヒーターで水温を28℃に保ち、2%濃度の海水にエアレーションをかけた飼育水に薄く色づくくらいの餌を与えます。飼育水が汚れてきたら定期的に水替えを行い約1か月たつと親へと成長し産卵、繁殖を行うようになります。

 

・テトラミン ベビー

・パン酵母

きな粉

植物プランクトン など

 現在、自家培養のミドリムシを与えていますがエアーなし、室温20℃前後の環境で1週間ぐらいは生存しています。今後、様々な餌を用いて1か月後の産卵時期に成長するまで育てた後、餌の評価を行いたいと思います。

卵の保存方法

 メーカによって異なりますが保存方法によって孵化率が変わってきます。 孵化率が下がるので封をしっかりと締め冷蔵庫(冷凍庫ではありません)で保存をしてください。

 ブラインシュリンプの孵化方法は以上になります。ミジンコ類の繁殖と似たようなところもありましたが、大きな違いは海水で孵化し繁殖するというところでしょうか。

 餌を与えるときを塩抜きしなければなりませんし、余ったら飼育環境を維持しなければなりません。

 また餌としての栄養も孵化朝護から下がってくるので自分が飼育している稚魚がどの程度食べるのかを見極めて孵化させないと無駄になるブラインシュリンプが出てくるかもしれません。

 少し工夫が必要かもしれませんが孵化まで24時時間と非常に早いので試行錯誤して有意義なアクアライフをお楽しみください。

今回の記事がご参考になったら幸いです。それでは最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。それでは次回の記事で。

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