耐久卵(タマミジンコ)の孵化方法:照明はどのくらいの明るさが必要か?

結論

LED電球60W相当前後の明るさで24時間照射

※厳密に60W前後でなくともそれ以上の明るさであれば孵化率は上昇する。

はじめに

 自然界において冬、飼育下においては、pHや温度、餌、日照時間などの総合的な環境悪化によってメスが耐久卵を育房に宿すことは他の記事にも書いてきました。

 下記の記事において

適切な耐久卵の保存温度と孵化温度

については、実験を行ったが照明の重要性、具体的に表記すると今回は

LED電球何W相当の明るさであれば孵化率は上昇するのか

の実験を行っていない。

 そこでこれまでの実験結果も参考にして、4℃下(冷蔵庫)で保存してあった6月25日に採取した耐久卵を

25W、60W、1300lm(口金E17の電球で90W相当)

の3つの条件下で孵化させ耐久卵の孵化率を測定した。

必要なもの

・LED電球

  25W、60W、1300lm(90W相当)の3つの明るさの電球を用意した。

 口金E17のLEDでは100W相当の電球が近くのホームセンタでは見つからず身近にあるもので耐久卵を孵化させることができなければ実験として成功したとしても実用的ではないので一体型のLED照明を使用した。

プラカップ

  黒色の容器のほうが適しているとの情報もあるが実験の都合上、仔虫が孵化したか観察しやすいよう透明のプラカップを用意した。

・カルキ抜きした水

  カルキ抜きした水の作り方は様々だが今回は、バケツに水を汲み野外で放置したものを使用した。詳しいカルキ抜きの水の作り方については下記の記事を参考にしてください。

・耐久卵(タマミジンコ)

 6月15日に採取しアルミホイルで遮光し4℃下で保存していたものを使用した。

 40年以上前のものが孵化したという事例もあるようですが、孵化率の低下を招き実験において正確な数値が出ない懸念もあるため1年以内の耐久卵んで実験を行った。

方法

 ①プラカップに400mlのカルキ抜きした水をそれぞれの明るさで投入した。

※統計的な偏りをなくすため容器はそれぞれの明るさにて3つずつ用意し、計9つのプラカップで孵化率の測定を行った。

 ②投入した水の中に6月25日に採取した耐久卵をひとつのカップにつき30掩卵殻(耐久卵60個)をいれた。

 孵化した仔虫は、成長してメスを産出する可能性もあるので毎日取り除きそのに孵化した仔虫の数を3日目まで測定した。(耐久卵を入れた初日を0日目とする)

結果

 3日目における孵化率は60Wが高く

 最終的な孵化率も、60Wが高かった。

※上記表の1日目、2日目、3日目は誤りです。正しくは、3日目、4日目、5日目になります。

考察

 25Wと60Wでの孵化率の違いは大きく差がみられたが、60Wと1300lmにおいては大きな差が見られなかった。

 1300lm下での孵化率が明らかに高いのであれば1300lm下で孵化させる必要性があるが60W下での孵化率との差は見られなかったので60W前後またはそれ以上の照明器具を使用しての孵化が好ましいといえる。

 前回の保存温度を変えての実験も踏まえて最適な耐久卵の孵化条件を示すと

4℃下で保存した耐久卵を28℃前後(20℃以上でも可)の温度に置き60W前後またはそれ以上の照明で24時間照射する

ということになる。

 前回と今回の記事は室内での孵化条件なので夏であればここまで条件をそろえなくてもカルキ抜きした水に入れておけば孵化すると思います。

 冬には温度の低下と日照時間が短くなることにより死滅してしまうのでそれまでの間に乾燥・低温に強い耐久卵を保存することを強くお勧めします。また夏の状態であっても突然死滅することはよくあることですので、お金を払って購入とならないようリスク管理としての耐久卵採取もお勧めします。

それでは最後までみていただきありがとうございました。それでは次回の記事でお会いしましょう。

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