はじめに
これまでミジンコの培養方法としては、グリーンウォーターとクロレラによる増殖方法を推奨してきましたが一つ難点を挙げるとするならば水が緑色の為観察に不向きな点です。単純な増殖のみでしたら十分なのですが10日間の実験でその日その日の個体数や耐久卵の計測をする際に非常に見にくいのです。というわけでネットで情報をあさりながらゾウリムシの増殖に挑戦してみました。
生態
英語名は「 slipper animalcule 」。大きさは約0.1㎜~0.2㎜程度でう洋々と動いているのは確認できますが詳しく観察するためには顕微鏡が必要になりそうです。体には規則性のある3500本もの繊毛に覆われており水温は約5℃~30℃で生息可能ですが低温下での繁殖は難しく、また30℃以上では他の微生物の繁殖も増えるため培養が困難になります。
繁殖方法は分裂による無性生殖と接合による有性生殖があります。無性生殖においては700回程度を限界値とし有性生殖においては他のゾウリムシと核を交換することにより遺伝的な多様性を保ちます。またこの有性生殖の際、限界値である無性生殖の約700回の分裂はリセットされます。
方法
①通販(アマゾン)にてゾウリムシを購入しました。
ゾウリムシ ノーブランド品 ゾウリムシ 30ml 3本セット インフゾリア
②水道水を野外に放置しカルキ抜きしたものと米とぎをした際に出る米のとぎ汁を用意しました。また、そのほかクロレラも餌として用意しました。
③それぞれ500mlのペットボトルに米のとぎ汁10ml、20ml、30ml、50ml、100mlを、またクロレラ濃度0.1%、1%の計7種を用意しました。
・米のとぎ汁
・クロレラ
④購入したゾウリムシをそれぞれの溶液に5mlずつ加え8日培養した。
結果
※米のとぎ汁 100mlを100点とした時
米のとぎ汁 10ml | △ 15点 |
米のとぎ汁 20ml | △ 45点 |
米のとぎ汁 30ml | 〇 65点 |
米のとぎ汁 50ml | ◎ 90点 |
米のとぎ汁 100ml | ◎ 100点 |
クロレラ濃度 0.1% | △ 10点 |
クロレラ濃度 1% | △ 25点 |
米のとぎ汁 10ml △ 15点
米のとぎ汁 20ml △ 45点
米のとぎ汁 30ml 〇 65点
米のとぎ汁 50ml ◎ 90点
米のとぎ汁 100ml ◎ 100点
クロレラ濃度0.1% △ 10点
クロレラ濃度1% △ 25点
最適なゾウリムシ量
最もコスパよく増殖したのは米のとぎ汁50mlと100mlでした。
ネットの情報によるとゾウリムシもミジンコと同じくカルキ抜きした水で米を研がないと死滅してしまうと書いてあるものもありましたが、水道水でといだ米のとぎ汁にカルキ抜きした水を飼育水として増殖させた今回では何ら問題ありませんでした。カルキ抜きした水で研いだらもっと繁殖するのでしょうか?
次回は増殖させたゾウリムシを餌にしてタマミジンコの個体数と耐久卵数の増減を10日間観察してみたいと思います。 最後までご覧いただきまして誠にありがとうございます。